この度は、サンリツ服部美術館のコレクションのなかから、日本で作られた漆芸品の魅力をご紹介いたします。
耐久性・接着性に優れた漆は、約9,000年前の縄文時代から塗料として人々の生活を支えてきました。また漆は、柔らかく艶やかな黒や赤の肌を生み出すことができます。そのため、日本では色漆で文様を描く漆絵や金銀の粉を蒔きつける蒔絵、文様を彫った上から漆を塗る木彫彩漆といった装飾技法も独自に発達し、建物・家具・食器などあらゆるものに使用され、長い間日本の生活文化を豊かに彩ってきました。
優美な意匠の蒔絵の調度品や、深みのある赤色の肌と精緻な彫刻が見どころの近代の鎌倉彫の作品などを通して、多彩な表現で多くの人々を魅了する漆芸品の世界に触れて頂く機会となりましたら幸いです。