やきものは、成形した素地を加熱する「焼成」という工程を経てつくられます。やきものを焼き締めることで強度や硬度を高めることができるため、やきものは世界各地で古くから行われていました。
焼成の際に欠かせない存在が窯です。窯のなかにうつわを並べてじっくりと時間を掛けて高温で焼いていくと、炎の具合や土や釉薬に含まれている鉱物、燃料の性質によって、思いもよらない色や模様が生まれることがあります。日本ではそれらを「景色」と呼び、やきものの見どころとなっています。
本展では、うつわの下半分が焼成中に黒く変化したことから雪を頂く富士山を連想して銘がつけられた国宝「白楽茶碗 銘 不二山」をはじめ、薪の灰が降りかかってガラス化し、胡麻のような模様ができた備前の徳利、白色の長石が浮き出た信楽の香合などを展示いたします。
窯のなかで生まれた陶磁器の色や模様をお楽しみください。