サンリツ服部美術館の服部一郎記念室では、1995年の開館以来、服部一郎(1932-1987)が収集した近現代絵画をご紹介して参りました。コレクションの中心は芸術の都パリを首都とするフランスの画家の作品ですが、フランスにゆかりのある日本生まれの画家の作品も多数含まれています。本展覧会では風景画を中心に、初公開8点を含む日本人画家の作品をご紹介いたします。
風景画は、ヨーロッパでは17世紀にジャンルの一つとして確立し、19世紀半ば以降に多く制作されるようになります。19世紀後半に日本で本格的に洋画が導入されると本場の絵画を学ぶために多くの画家が渡欧するようになり、彼らも現地で風景画を描きました。
本展の1章では、明治末期から昭和にかけてヨーロッパに渡った画家たちの、国外を描いた作品をご紹介いたします。続く2章では、日本人画家が日本を描いた作品を展示いたします。描かれた場所に注目して、日本の画家たちが風景をどのように表現したのかをご覧下さい。
また、生誕120年を記念して、コレクションのなかから棟方志功の作品を特集展示いたします。棟方は日本の風土に根差した宗教的な主題や、故郷青森への思いを力強い造形で表現し、国際的な評価を得ました。躍動感あふれる棟方の作品世界もお楽しみいただければ幸いです。