日本人はなぜか、「壺」の形態に愛着を感じるようです。本来は実用の器である壺を、床の間に飾って鑑賞したりするのも、考えてみると不思議な話です。
茶入は、抹茶の粉を入れておくための小さな壺。茶の湯では、種々の茶道具の中でも格の高いものと考えられてきました。特に「名物(めいぶつ)」と呼ばれる茶入には、歴史上の有名人が所有したという「伝来(でんらい)」、数々の付属品からなる「次第(しだい)」と称する付加価値が付き、宝物として扱われます。
しかし元をたどれば、壺の美しい形に名物茶入の出発点があります。本展では、茶入の美しさに改めて注目してみたいと思います。あわせて、同じく抹茶を入れる器である棗(なつめ)の数々もご紹介致します。