この度は服部一郎コレクションより、『顔』をテーマにした作品をご紹介いたします。
顔を描いた肖像画の歴史は古く、ヨーロッパでは家庭の記念や子供の成長の記録として、主に宮廷を中心に描かれてきました。20世紀になり、肖像画が写真に取って代わられたのちも、『顔』は特別なモチーフ(画題)として多くの画家が描いています。モデルに似せる、モデルを美化するという注文肖像画の課題から自由になって、私たちの時代の顔の表現は、より多様になっていきました。
第1章「あなたは誰?」では、ルノワールやルオーらによる、様々な人物、動物の『顔』を描いた作品が登場します。第2章「描かれた現代の美女たち」では、女性をモデルにした作品に焦点を絞り、画家の個性を引き出す絵画表現に注目します。第3章「肖像のゆくえ」では、室内の身近な人々を描くアンティミスム(親密派)の流れをくむコンスタンタン・テレスコビッチと、ピカソを継ぐ新世代の画家アントニ・クラヴェの作品をご紹介いたします。
人や動物、笑顔や愁いを秘めたまなざしなど、様々な『顔』が登場する本展。『顔』にみる20世紀の画家の個性をお楽しみください。