兵庫県西宮市にある黒川古文化研究所は、中国・日本の美術考古資料を2万点余りにわたって収蔵する研究機関です。そのコレクションの中核は、大阪の地で両替商から身を起こし、証券業を営んだ初代黒川幸七(1843~1900)と、その跡を継ぎ、京都帝国大学教授の内藤湖南や内閣総理大臣を務めた犬養木堂(毅)らの文化人と親交を結んだ2代幸七(1871~1938)により、明治から昭和初期にかけて形成されました。
昭和25年(1950)には、これらの大切な文化財を次世代に継承するため、東洋古文化に関する学問の発展を願った3代幸七(1893~1961)とその妻イク(1895~1980)の尽力で財団法人として出発し、本年4月1日には、公益財団法人に認定され、今日に至っています。
本展では多彩な収蔵品の中から、特に日本の古美術に焦点をあて、商家の床の間を飾った上方好みの繊麗な江戸絵画、日本有数のコレクションとして知られる鎌倉時代の刀剣、緻密で高度な技術を誇り、金属工芸の極致といえる江戸時代の刀装具を中心に、大判や染織品などを加えた優品約80点をご紹介いたします。