当館の「服部一郎記念室」は、セイコーエプソン及びセイコー電子工業(現セイコーインスツル)元社長の故・服部一郎(1932~1987)が、その眼で選び、こよなく愛した作品の数々を順次ご紹介しております。この度は、服部一郎生誕80周年を記念し、服部一郎コレクションの名品を前後期にわたってご紹介いたします。
若い頃にスイス、アメリカへの留学を体験し、その後も国際経済活動に諸外国を飛び回る生活を続けた服部一郎は、ごく自然に西欧芸術への理解と審美眼を育み、作品の収集に勢力を傾けて参りました。日常的な情景や親しみのある画題、明るい色彩などが特徴的な収集品からは、生きる喜びや人間への愛を大切にした服部一郎の人柄を偲ぶことができます。国際経済活動に諸外国を飛び回る多忙なビジネスマンであったと同時に、よき家庭人でもあった服部一郎。その美術愛好家としての一面を、作品を通じて感じていただけましたら幸いでございます。