今回はコレクションの中から安田登紀子氏(昭和7〔1932〕年生)による仏画をご紹介いたします。安田氏は画壇に属さず、独学で画風を模索してきた画家で、一貫して仏さまの世界をテーマに制作を続けてきました。
本展覧会では当館理事長所蔵作品と、安田氏ご所蔵作品とを合わせて展示し、安田登紀子氏の画業を画風展開とともにたどります。第1章では30歳の頃に独学で仏画を描き始めた安田氏が、最初に手掛けた金泥(金色の絵具のこと)による小品を、第2章では国宝・重要文化財の仏像の写生を追及する中で生み出された彩色画を、そして第3章では自我を捨て去る仏画をめざした安田氏がたどりついた墨絵の世界をご覧いただきます。古仏と真摯に向かい合った仏像画家の世界をご堪能ください。