サンリツ服部美術館は、茶入鑑賞の歴史を紐解くことを目的とするコレクション展を開催いたします。
茶入とは、抹茶を入れる小さな壺のことです。中国では薬などを入れる容器だったものを、日本では茶入として使用するようになりました。その後、茶の湯の隆盛とともに茶入の需要も増え、瀬戸を中心に製作が始まります。
茶人たちは、それらをある基準をもとに鑑賞してきました。しかも、形、大きさ、釉薬の調子といった茶入そのものが持つ特徴から、付属品、伝来、さらには過去の鑑賞方法までも包み込むような見方へと輪を広げていきます。この鑑賞の在り方は、まさに当時の美術史といえます。展覧会の副題を「もう一つの美術史」とする所以です。
展示は4章構成です。まず第1章では、唐物茶入をご紹介します。桃山の厳しい鑑賞基準を耐え抜いた貴重な茶入が並びます。第2章では瀬戸茶入を展示。唐物の写しから新しい形までも手掛けた瀬戸窯の技をご覧ください。第3章では、古くから活動している備前と丹波の茶入を展示し、新しい時代の好みに古窯がどのように応えたかを見ていきます。最後の第4章では、茶人の指導の下で製作した野々村仁清と高取の茶入を展示します。
桃山から江戸時代の茶人たちが、茶入に見たものは何か。その歴史に迫ります。