サンリツ服部美術館は、絵画の空間に焦点を当てたコレクション展を開催する。山水画、人物画、花鳥画の3つのテーマを4章で構成し、計22点を展示。主に日本絵画の空間構成の変遷に注目する展覧会である。
平面に確かな奥行きのある空間を描くことは、画家にとって大きな課題だった。それは仏を迎える崇高な場所であり、自らの願いや思いを馳せる理想郷であり、物語が進行する場面である。絵画は、描く対象や画題に適した空間を、絵の具や墨で描いてきた。
まず第1章では山水画を特集する。仏教経典の荘厳な見返し絵や、禅僧の描いた幽玄な山水画が並ぶ。続く第2章と第3章では、人物のいる空間を取り上げる。第2章では伝説や物語に登場する人物を描いた掛軸の作品を、第3章では人々の日常を捉えた屏風絵を展示する。最後の第4章では、花や鳥が遊ぶ絵画を展示し、花鳥画の空間を構成する視点の面白さに注目する。