サンリツ服部美術館は、赤い絵のあるやきものに焦点を当てたコレクション展を開催いたします。

　やきものに用いる色の中でも、赤色は遅れて登場した色でした。赤い絵のあるやきものが成熟を迎えたのは、明時代、15世紀の中国です。日本ではこれらを「赤絵(あかえ)」と呼び、時代や地域の名称を冠して呼び分け、親しんできました。

　その日本でも、江戸時代、17世紀から18世紀にかけて、華やかな赤い絵のある国内産のうつわが爛漫と咲き誇った時代を迎えます。九州の古九(こく)谷(たに)や伊(い)万里(まり)などの磁器では中国風のうつわを作る試みが始まり、本格的な磁器焼成へと歩み出します。また、陶器でも、京都の野々村(ののむら)仁(にん)清(せい)による優美な絵付けを施したうつわが生まれました。

　この展覧会では、中国の赤絵、特に景徳鎮(けいとくちん)と漳(しょう)州(しゅう)窯(よう)のうつわを、そして日本の赤絵から古九谷、伊万里、鍋島(なべしま)、京焼を一堂に展示し、赤い絵のあるやきものの系譜をたどります。