松平不昧は、寛延4年(1751)に雲州松江藩6代藩主・松平宗衍の次男として生まれました。幼名を鶴太郎、名を治郷といい、不昧、未央庵、一々斎、宗納などと号しました。17歳の時に、財政難に苦しんでいた松江藩藩主となり、家老朝日丹波らの補佐を受けて財政改革を行い、治績をあげた人物としても知られています。
また、不昧は茶の湯を好み、遠州流や石州流、三斎流を学んだ後、石州流不昧派と称する流派をなしました。茶道具の蒐集にも力を注ぎ、「雲州名物」といわれる膨大なコレクションを築きあげます。また、茶の湯の名物道具を研究し、名物の概念を定め、その後の茶道具研究にも大きな影響を与えました。
この度は、松平不昧没後200年を記念し、サンリツ服部美術館のコレクションの中から、雲州松平家に伝来した茶道具や不昧の道具研究の集大成『古今名物類聚』に掲載されている作品などをご紹介いたします。本展を通じて、不昧が見つめた茶の湯の美に触れていただけますと幸いです。